ベビー布団が<br>できるまで

ベビー布団が
できるまで

「当たり前」や「常識」を見直し、
相反するものを両立させる。

「職人の技とマスプロダクトとの両立」。それが、熟練の布団職人・丹羽拓也さん監修のもと、ベビー布団をつくる最大の課題でした。細やかな手仕事と、量産できる仕様。見た目の美しさと、使い勝手の良い機能性。一見、相反するものの両立を求めて、これまでの「当たり前」に向き合い、「常識」を打ち壊し、納得いくまで考え抜きました。心地よさをかたちにするための縫製上の無理難題、素材の扱い方や、和布団の「綴じ」の技術など、丹羽さんには何度も相談にのってもらい、壁を乗り越えてきた約1年間。「職人の技術はもちろんですが、ものづくりへの向き合い方を身近で体感できたことが、いちばんの財産になりました」と、開発担当責任者の近藤さんは語ります。

家具売り場で生まれた、
これまでにない発想のベビー敷き布団。

目指したのは、「大人が寝ても気持ちいい敷き布団」。一般的にベビー布団に使われれる固わただけだと、安全性は高いのですが、寝心地の良さはいまひとつ。さまざまな素材を組み合わせるものの、どうしても「コシのある柔らかさ」が実現できません。そこで、開発スタッフが足を運んだのは家具店でした。店員さんの説明を伺い、あらゆるベッドに寝そべってみる。「これだ!」と全員一致で頷いたのは、ウレタンの弾力と反発力でした。

「さっそく低反発から高反発までサンプルを取り寄せ、試行錯誤して生まれたのが、独自の8層構造なんです」と声を弾ませる開発担当の梅本さん。固わた・ウレタンフォーム・ブレスエアー®の3種の中材を、オーガニックわたやウールシートなど5層の素材が層になった側地で包む、これまでにない新しい発想のベビー敷き布団が生まれたのです。

一人ひとりの知恵と工夫で、
ものづくりの壁を越える。

忘れてはいけないのは、サンデシカのものづくりを支える日本全国の工場の存在です。今回のプロジェクトも、品質はもちろん、団結力と意識の高さで信頼できる方々といっしょに進めてきました。「仕様を伝えたら最初はびっくりされました。『完成できたらすごいですね』というワクワクと、『自分たちにできるのか』という不安が入り混じっている感じ」と開発担当の成田さん。丹羽さんやサンデシカが求める理想と、量産の現場で可能な技術とのギャップを埋めるのは、簡単ではありませんでした。しかし、「こうしたらできそう」「この方法でやってみましょうか」などの一人ひとりの知恵と努力の先に、少しずつ光が見えていきました。

ベビー布団の縫製を手がけて60年。
歴史ある工場の信頼の加工技術。

滋賀県、琵琶湖のほど近くでベビー布団の縫製を60年間手がけてきた、近江キルト。今回も大きな力を貸していただきました。工場の方々の意見も取り入れ、「職人の技」を量産化することに成功。永い歴史の中で蓄積されてきた、近江キルトの知識と技術が、一つひとつの製品の高い品質を実現しています。

「これでいい」ではなく
「これがいい」をめざして。

この小さなおふとんの中には、数えきれないほどの挑戦が詰まっています。丹羽さんにつくってもらった縫製サンプルを、サンデシカで量産向けに調整。何度もNGを出し、サンプルを作り直し、検討を重ねました。特に苦労したのは、オーガニックコットンの扱い方、洗濯後の寸法変化を考慮したサイズ調整、美しいデザインのパターン化など。いつもと違うファスナーを使うので、工場の方々に縫製の練習もしてもらったといいます。求めるのは「落としどころ」ではなく、「最高の心地よさ」。「全員が妥協を許さなかったからこそ、『これでいい』ではなく『これがいい』と選んでいただけるものができました」。

赤ちゃんにもご家族にも寄り添えるおふとんを。

赤ちゃんが生まれ、健やかに育ってくれるのは、とても幸せなことです。でも、子育ては想像を超える激務であることも確か。「初めて」の連続で、くじけそうになることもあるかもしれません。だからこそ、わたしたちは赤ちゃんがすやすや眠れる「心地よいおふとん」をつくりたかったのです。それは、お父さんとお母さんに時間や心の余裕をもたらすことができるから。ISURUを選んでよかったと思ってもらえたら。赤ちゃんにもそのご家族にも、少しでも寄り添うことができたら。それは、わたしたちサンデシカの幸せでもあります。