雲のかたちのCカーブ だっこ布団に使われているガーゼ生地のなかでもオールドローズ・ライラックグレー・オリーブはとても柔らかくて気持ちいいとスタッフの間で話題になっています。実はこのガーゼ只者ではなく、和晒しガーゼというもの。しかし和晒しとは一体どんなものなのか?
その秘密を握る加工工場さんに企画チームが行くと言うことで、私たちECチームも同行させてもらうことになりました!
幸村晒工業株式会社さんへお邪魔してきました。
名古屋市北区。矢田川沿いにある幸村晒工業さんは大正10年(1921)創業されました。今年創業100年を迎える歴史ある加工工場で、日本伝統の漂白加工「和さらし」の技術を今も守り続けています。
晒(さらし)とは日本伝統の漂白加工のことをいいます。
綿花はもともと真っ白ではなく淡い茶褐色をしています。晒では綿花に含まれる脂質や不純物、また糸にする際に使われた糊などを除去して洗浄。綿花独特の匂いや色素も除去し、綺麗に漂白していきます。
看板の手前でワンちゃんの置き物がお出迎え。わん。
昔はすぐ隣りを流れる矢田川の水を晒に使っていたそうです。現代では川の水を使うことは無くなりましたが、すべてはこの川から始まってこの地で継承されている技術と思うと気持ちが高まってきます。
幸村晒工業が守りつづけてきた「和晒し」とは
晒しには大きく分けて和晒しと洋晒し二つの方法がありますが、現代ではほとんどが洋晒へと移り変わっていきました。
洋晒ではたくさんのローラーを通しテンションをかけ、強い薬品を使って数時間で一気に漂白していきます。ストレスが加わることで生地が擦れて痩せ繊維は潰れてしまいますが、スピードが速く現代では一般的な方法です。
一方和晒しは引っ張ったり伸ばしたりすることも強い薬品を使うこともありません。大きな釜に生地を入れ、最低限の薬品を使い4日間じっくり炊くことで漂白していきます。
丁度火のついている釜を覗かせてもらいました。
蓋を開けた途端立ち込める蒸気と湯気!お〜!すごい!
湯気の向こうに見えたのは、体の芯まで温まってリラックスした様子の生地。サウナの扉を開けたときのような気分です。みんな気持ちよさそう。。
ここで見学した釜では生地を人の手で入れ、人の手で出すんだそうです。水を吸った生地は1反50キロ以上にもなるそうで、釜には一度に100反(約1万メートル)を入れることができる…ということは、大変な力仕事です。
その後洗浄し生地を真っ直ぐに伸ばして乾燥させ、用途に合わせた染色や加工を施して完成します。
釜で炊いている4日間生地は動かしません。余計なストレスをかけないため擦れたり生地が痩せてしまうことがなく、繊維の一本一本は丸い形状を潰さず保つことができるのだそうです。
和晒しは繊維を潰さないから、ふっくらと柔らかい生地になる。シンプルですが手間と時間をかけなくてはできないことです。
和晒しのブレについて
和晒しのガーゼ製品について、製造ロットにより若干の色ブレが出てしまいます。
和晒しでは、温度や釜との相性で発色にブレが生じてしまいます。同じ条件を満たしていても染料自体のロットにもブレがあり、正確に色を揃えるのはとても難しいとのことでした。
洋晒しを採用することで色ブレを今より抑えることはできそうなのですが、肌触りの良さを優先してサンデシカでは和晒しを採用しています。
製造ロットごとにセットを組んで販売しているので、購入したセット内で色ブレが起きることはありません!
色ブレについて許容範囲を+-5%に絞り生産を続けているため、もし後から追加で購入していただくことがあった際、手元の商品と追加購入品とでなんとなく色の雰囲気が違って感じることがあるかもしれません。
製造ロットにより多少の色ブレが生じることがございますことをご了承くださいませ。
和晒しガーゼを使った製品
空気を含ませるようにふんわり寄りそうことに最適な素材だと思います。
雲のかたちのCカーブ だっこ布団の無地のカバーに和晒しガーゼを使っています。ふんわり柔らかな質感を感じていただけると思います。
おまけ
幸村晒工業さんへお邪魔したとき大きな水槽がありタツノオトシゴが泳いでいて釘付けになってしまいました。尾をあちこちに巻きつけてつかまっている姿が so cute...(ため息) その日スマホ検索履歴には「タツノオトシゴ」が並び、新しい扉を開きかけています。
さて、今回の工場見学に力を貸していただいた商社さん。途中席を外されたかと思いきや帰りの駐車場で突然何かを渡してくださり…
えっ!うどん!!
手打うどん牛コロ宮内さんというお店の「牛コロうどん」をテイクアウトしてみんなに振る舞ってくださいました…!お心遣いに感謝いたします。
しゃぶしゃぶのようなお肉がたっぷり乗っていて、添えられたわさびを溶かしながらの味変。とても美味しかったです。行列のできるお店のようで「牛コロが有名だけどお店でやってる煮込みも美味しいよ」と教えて頂いたので、次はお店に訪れたいです。
工場見学を終えた後。創業当時、幸村晒工業さんが生地を晒していたであろう河川敷を少し歩きました。風が気持ちよくて。ここから始まって今日までつながる技術のバトンに思いを馳せ、地元の美味しい手打ちうどんもご馳走になり、とても充実した1日でした。
ありがとうございました!